日本弁理士会アンケート調査結果(平成21年)
アーティストのお友達から、またご質問をいただきました。
<質問> シンガーソングライター・スマイル饗子
うちのプロダクションの社長が、事務所の名前を商標登録したいと言っています。ネットで調べると、弁理士費用ってずいぶん差があるようなのですが、やっぱり、あまり安いところには依頼しない方が良いんでしょうか?
<回答> 弁理士 井上
個人的には、平均的な価格の弁理士に依頼するのが良いと思います。
饗子: 格安商標の事務所って、評判悪いんでしょうか?
井上: いや、特に悪評は聞かないですね。
饗子: そうなんですか?じゃあやっぱり、一番安いところに頼むのが良いんですか?
井上: うーん。ただし、極端に安くできるということは、必ず理由がありますよね。
饗子: どんな理由ですか?
井上: 大きく2つ考えられます。
饗子: ほうほう。
井上: 一つ目に考えられるのは、短時間で大量に処理しているという理由。
饗子: それは分かりやすいですね。やはり、短時間で大量に処理すると、サービスの質は落ちますか?
井上: それは、間違いなく落ちます。一人のお客さんに時間をかけることができないわけですからね。確かに、熟練した弁理士ならば、出願書類の作成にはそんなに時間はかからないでしょう。調査の速度も上がると思います。でもね、お客さんとのやり取りに要する時間は、あまり短縮できないんですよ。
饗子: お客さんとのやり取りというのは、例えばどういうことですか?
井上: 例えば、「Aという出願プランとBという出願プランがあります。Aならば商標の保護は万全ですが、費用が高額になります。Bならば低額ですが、保護の度合いは70%くらいです。私のおすすめは、とりあえずBを採用しておいて、併せてCという措置をとることです。」というようなことを、一つ一つ、できるだけ丁寧に、かつお客様が理解できるよう説明するとなると、メールの文章を書くだけでも、かなりの時間を要するということです。
饗子: なるほど! うちの社長も商標のことは素人だから、ちゃんと理解できるように説明するとしたら、ベテランの弁理士さんでも時間がかかりそうな気がします。
井上: そもそも、そういう安く大量に処理する事務所は、弁理士が自分で担当していないと思いますよ。
饗子: そうなんですか!
井上: 弁理士でなくても商標の専門家であれば知識的には問題ないんですけれどね。ただ、責任を取れる立場でない担当者の場合、あまり、親身になったアドヴァイスはしてくれないかもしれません。
饗子: 自分では責任を取れないから・・・。大胆なアドヴァイスはできないということですね?
井上: そうです。事務所の利益との板挟みということもありますしね。
饗子: よく分かりました。それでは、2つ目の理由を教えてください。
井上: 2つ目に考えられる理由は、「安いと言っているが実は安くない」ということです。つまり、「商標19800円」と書いてあっても、登録までのトータルの費用は色々加算されて、8万円くらいになるとかね。
饗子: え、それって詐欺じゃないですか?
井上: いやあ、詐欺ということは無いですけれど、紛らわしいというか、お客さんにとってあまり良くないことは確かですよね。だから、商標登録費用<格安>のワナ?なんていうサイトができたりするわけですが・・・・。
饗子: やっぱり、なんでも適正価格というものがあるということですね。でも、商標の適正価格って、どれくらいなんでしょう?
井上: 適正かどうかは分からないですが、日本弁理士会で、商標登録出願の費用に関するアンケートをとったものがあります。 ⇒商標費用アンケート(日本弁理士会)
これによると、6~8万が平均的な値段のようですね。
饗子: 井上さんのところは、おいくらなんですか?
井上: うちは、通常料金が82000円。中間処理があった場合はプラス20000円。上限設定と明瞭会計が売りですので、これ以上とることはありません。
詳細は、こちらをご覧ください。 ⇒AIS弁理士事務所 商標料金表
饗子: 明瞭会計はありがたいです。さっそく見てみますね! それではみなさん、さようならー!