商標登録されない芸名・バンド名の4つの類型

<質問> (シンガーソングライター:スマイル饗子 さん)
それでは井上さん、前回おっしゃっていた、自分で芸名を商標登録出願する方法を教えてください!

<回答>  (弁理士 井上)
はい。でも、商標登録出願をする前に、事前準備をしましょう。事前にしっかり準備すれば、その商標が登録することができるかどうか、だいたい分かるんです。

♪ 商標登録が拒絶されるリスクについて

井上: 商標登録出願をすると、特許庁の審査官が、審査をします。「この商標は登録できるものかどうか」調べるということです。登録できる商標の条件というのは、結構細かく決まっているんです。

饗子: お金を払えば、なんでも商標登録できるわけじゃないんですね。もし、審査の結果がアウトだった場合は、どうなるんですか?

井上: 「拒絶理由通知」という、ショッキングな通知が届きます。その後、審査官に反論できる場合もありますが・・・。まあしかし、素人が自分で出願した場合は、反論するスキルは無いので、そのまま登録拒絶ということになるでしょうね。つまり、1万2千円が無駄になるということです。

饗子: 泣き寝入りですね。

井上: まあ、そうです。でも実は、事前にしっかり調査すれば、出願してみなくても、その芸名が商標登録することができるものかどうか8割がた分かるんですよ。

饗子: そうなんですか!? それは重要ですね!! でも8割・・・。100%ではないんですね?

井上: そうですね。色々理由がありますが、調査には限界がありますので、リスクはゼロにはなりません。しかしまあ、リスクと言っても、たかだか1万2千円ですから。元気を出して行きましょうよ。

饗子: そうですよね。失敗しても、「むしろ良い経験になったんじゃない?」くらいのポジティブさが必要ですよね!ところで、「拒絶理由通知」が届いてから、弁理士さんに相談することはできないんですか?

井上: できますよ。審査官に反論できるかどうかはケースバイケースで難しいところですが、とりあえず相談に乗ることはできます。まあ、僕は、困った人を助けるのが法律家の仕事だと思っていますから、困った人は大歓迎です(笑)。いつでも相談してください。

♪ 商標登録できない芸名・バンド名の類型

井上: ここでは、「こういう芸名・バンド名は出願するまでもなく無理」というものを説明していきます。

饗子: 私の芸名(スマイル饗子)は大丈夫かしら?

<ダメな類型その1>
 同姓同名の人がいる芸名

井上: まず、一つ目。「同姓同名がいる氏名」は、まず登録されません。例えば、「井上暁彦」という芸名は、だめです。

さらに、「同姓同名がいる名前」を含む名前もダメです。例えば、バンド名なんかの場合は、「井上暁彦とミラクルシスターズ」なんていうのもダメということです。

饗子: これは分かりやすいですね。

<ダメな類型その2>
 シンプルすぎたり、普通すぎる芸名

井上: 次に、二つ目。「ありふれた氏のみ」の芸名もダメです。例えば、「井上」とか、「佐藤」とかはダメです。

あとは、「シンプルすぎる」のもダメ。「1」とか、「◯」とか、「A」とか。バンド名でいうと、「ミュージックバンド」とか、「ロックバンド」とか、「サルサバンド」とか、そういう、音楽演奏団体であることをそのまま表したような普通過ぎる名前はダメです。
 「スマイル饗子」「グッドスマイルズ」は、この類型には該当しませんね。

饗子: ふむ。なるほど。でも、「シンプルすぎる」とか、その基準は難しそうですね?

井上: そうですね。「商標審査基準」というものを見ると詳しいことが載っているのですが、自分の芸名が該当するかどうかあやしいなと思う人は、弁理士に依頼した方が良いと思います。

<ダメな類型その3>
 有名な名前と似ている芸名

井上: 次に、三つ目。「似た芸名の有名人がいる場合」はダメです。また、人でなくても、有名な会社であったり、商品であったり、そういうものと似ている芸名は登録されません。
これは、Google検索してみれば、だいたい分かりますね。例えば、「スマイリー菊池」は、「スマイリーキクチ」と似ているので、ダメです。また、「キノコの山」という芸名も、有名なお菓子の名前と同じなのでダメです。

饗子: 「スマイル饗子」をGoogle検索してみました!! 私以外は全然出てきませんので、OKですね。

井上: バンドについても芸名と同様に、「似た名前の有名なバンドがある場合」はダメです。
さらに、バンド名でなくても、例えば、有名な会社名であったり、商品名だったり、そういうものと似ているバンド名は商標登録できません。これも、Google検索で調べましょう。
なお、日本では有名でない外国のバンドも、外国においてかなり有名であるならば、ダメということになります。この辺はもう、調査の限界になってくるので、あきらめた方が良いかもしれません。

饗子: 私のバンド名「グッドスマイルズ」をGoogleで調べたら、同じ名前が出てきました!!グループホームの名前らしいんですけれど・・・。これって、もう、「グッドスマイルズ」は登録できないって言うことですか!?

井上: 実は、そうでもなくて・・・。業種が違う場合は、相手方の名前が日本全国で周知になるくらい有名でなければ、大丈夫なんです。でも、どれくらい有名かというのは、判断が難しいですよね。Googleで同じ名前が出てきたような場合は、弁理士に依頼した方が良いかもしれません。

<ダメな類型その4>
 既に商標登録されている芸名

井上: 最後に、4つ目。これが一番大事です。商標登録はなんと言っても早い者勝ちですので、「先にに似た名前が出願されて登録されている場合」は、登録できません。
ただし、ここからが難しいのですが、このような場合であっても、「指定商品・指定役務が類似しなければOK」というルールになっています。

饗子: なんか、初めて専門用語が出てきましたね(笑)。なんですか、その「指定なんちゃら」というのは?

井上: 実は、商標登録をするときには、「商標」とセットにして「指定商品・指定役務」というものも登録するんです。この「指定商品・指定役務」というのは、その商標をどういう商品・役務に使用するか、ということを登録したものなんです。ちなみに、「役務」というのは、「サービス」のことです。
今回、「スマイル饗子」という芸名や、「グッドスマイルズ」というバンド名を商標登録出願するときには、指定役務を「音楽の演奏」として出願するのが基本です。

饗子: すると? どうなるんですか?

井上: 例えば、仮に「スマイル饗子」というおそば屋さんの名前が商標登録されていたとしても、その指定役務が「飲食物の提供」であれば、芸名の商標登録にはなんら差し支えないということです。なぜなら、「飲食物の提供」と「音楽の演奏」とは全く類似していませんから。

饗子: なるほど!! でも、それをどうやって調査するんですか?難しそうです。

井上: 特許庁のデータベースを使って調査します。確かに、色々なケースに対応するのはけっこう難しいです。でも今回は、芸名・バンド名に限定されていますし、僕が教えた通りにやるだけなので大丈夫ですよ。

というわけで、次回は、特許庁のデータベースを使った調査の仕方について説明しようと思います。

饗子: だんだん難しくなってきたけれど、ここまで来たら最後まで意地でもついて行きます! さようならー!

<前回(費用)>  <続き(調査の仕方)>

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