「著作権」と「著作者人格権」:シンガーソングライターの権利(1)

<登場人物>
井上 暁彦(以下、「井上」)・・・・・このブログの管理人で、弁理士。
スマイル饗子(以下、「饗子」)・・・将来有望なシンガーソングライター


井上: それでは、今日も、著作権の話をしましょうか。

饗子: 前回は超・超・超基本編でしたが、今回は?

井上: 前回の続きで、今回もかなり基本的な話です。

饗子: 続きモノなんですね? 私、前回やった内容を忘れかけているのですが・・・。

井上: それでは、前回のおさらいをしましょう。前回説明したことは、以下の通りです。

(1) 著作権とは、「権利の束」と呼ばれる、複数の権利の総称である。

(2) 著作権が「権利の束」であるのに対し、個々の権利(複製権,上映権etc.)を「支分権」という。

(3)著作権の支分権のうち例えば「◯◯権」とは、
「著作物を他人に勝手に◯◯されることを防止する権利である。」

これを比喩的に言うならば、「◯◯権」とは、
「著作物を◯◯するためのパスワードを設定する権利である」

饗子: おお! 思い出しました。

井上: さて、それでは今日は、一人のシンガーソングライターが、音楽活動を通じてどのような権利を取得していくのか、その過程を見ていきいます。

饗子: こ、これは、もしやシンガーソングライター垂涎の企画では!?

著作者の権利(著作権と、著作者人格権)

井上: さて、饗子さんに質問です。シンガーソングライターが、音楽活動において、まず一番最初にすることは何ですか?

饗子: えーと・・・。事務所に入ることです。

井上: それも大事ですけれど、シンガーソングライターという以上は、楽曲を作らなくてはなりませんよね。曲を書いていなければ、ただのシンガーですから。

饗子: あ、なるほど(笑)。私の場合、まずは作曲をして、次に作詞をします。

井上: ちなみに、デビュー作のタイトルは?

饗子: エンドレス・スマイルです。

井上: いま、饗子さんが、エンドレス・スマイルという楽曲を作りました。すると、自動的に、饗子さんは、この楽曲の著作者となります。

饗子: ふむ。

井上: そして、これまた自動的に、「著作者としての権利」を2つ手に入れます。

それが、「著作権(財産権)」と「著作者人格権」です。

饗子: 著作権だけじゃないんですか!?

井上: そうです。おなじみ「著作権」は、著作物の財産的価値に着目した権利です。なので、分かりやすいように、「著作権(財産権)」と表記することがあります。

饗子: 財産的価値ってどういうことでしょうか?

井上: 金銭的価値、と考えてもらって構いません。
これも、比喩的に考えると分かりやすいと思います。
例えば、著作権の「権利の束」に含まれる「複製権」。これは、「著作物を複製するためのパスワードを設定する権利」であると説明しました。
この「複製権」は財産権の一種です。ということは、

「著作権法では、著作物を複製するためのパスワード設定権に金銭的価値を認めている」

ということなのです。

饗子: なるほど。金銭的価値があるということは、勝手に複製したら泥棒のようなものですよね?

井上: そのとおり!その金銭的価値が、100万円か、それとも1円にも満たないかは別として、金銭的価値がある以上、それを勝手に利用することは泥棒と同じです。

饗子: ふむふむ。

井上: そしてもう一つ。金銭的価値があるということは、売買を認めているということでもあります。

饗子: ほぉ。確かに、そうですね! お金を払えば、譲り受けることができるということですね?

井上: そうです。正確には、権利者さえ良ければ、無償で譲渡しても構わないということです。寄付と同じで。

饗子: なるほど。

井上: 次に、「著作者人格権」の話をします。
「著作権(財産権)」がお金の問題であったのに対し、「著作者人格権」は、プライドの問題と考えてください。

饗子: プライドも法律的上の権利として認められているんですね!?

井上: もちろんです。むしろプライドの方が大事なくらいです。憲法の条文なんて、プライドの話ばっかりじゃないですか。

饗子: 言われてみれば、思想信条の自由とか、男女平等とか、全部プライドの話ですね。

井上: さて、「著作者人格権」も、「著作権(財産権)」と同様に、「同一性保持権」「氏名表示権」など、いくつかの権利の総称となっています。
ただし、「著作者人格権」はプライドの問題なので、売り買いはできません。

饗子: プライドは売れないですものね!

井上: そうですね。まあどちらかというと、売れないというよりは、譲り渡すことができない、と言った方が正確かもしません。

饗子: なるほど。

井上: だから、「著作者人格権」は、実際のビジネスにおいて、著作者であるアーティストに残された最後の武器となる可能性があるんです。

饗子: つまり、「著作権(財産権)」は売り払ってしまって無一文になったとしても、プライドである「著作者人格権」だけは自分に残るということですね?

井上: その通りです。まあ実際には、「著作者人格権の不行使特約」なんていうのを結んで、そのプライドすら捨ててしまうこともありますが・・・。
ともあれ、著作者人格権の具体的な内容については、また今度説明しようと思います。

饗子: なけなしのプライドまで捨てなきゃ売れないなんて、厳しい業界ですね(泣)。

井上: 以上、今回は「シンガーソングライターの権利 第1弾」で、「著作権」と「著作者人格権」のお話でした! 次回は、ちょっとマニアックな「著作隣接権」のお話です。

饗子: さようならー!

<続き>

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