そもそも著作権とはどんな権利?─「パスワード設定権だと覚えよう」

<登場人物>
井上 暁彦(以下、「井上」)・・・・・このブログの管理人で、弁理士。
スマイル饗子(以下、「饗子」)・・・将来有望なシンガーソングライター


井上: 著作権の話をしましょうか。

饗子: ついにきましたね。私の音楽活動にも関係のあることなので、やぶさかではないですけれど。

井上: とはいっても、今回お話しするのは、著作権の、超・超・超基本的な話です。基本すぎて、他ではあまり語られないくらいの話をしようと思います。

饗子: 基本は大事ですよね。

井上: まず最初に、これは必ず教科書に書いてある一番大事なこと。著作権は、しばしば「権利の束」と呼ばれることは知っていますか?

饗子: 知りません。「けんりのたば」? 何ですかそれ。

井上: つまり、「著作権」という一つの権利があるわけではなく、たくさんの権利が「束」のように集まったものの総称が「著作権」だということです。

饗子: そういわれてみれば、複製権とか、上映権とか、色々聞きますよね。それはみんな「著作権の中に含まれる権利」ということですか?

井上: そのとおりです。「著作権」が、複数の権利の総称であるのに対し、「複製権」とか「上映権」といった個々の権利を、「支分権」ということがあります。

饗子: 「しぶんけん」ですね。なるほど。

井上: もし契約書で、「著作権を譲渡する」なんていう言葉が出てきたら、注意しましょう。このフレーズを言葉通りに解釈すると、著作権すべてを「束」ごと譲渡することを意味しています。しかしこれは、あまりに雑な書き方です。著作権のうち、どの支分権を譲渡するのか、明確にすべきですし、本当にすべての支分権を譲渡しなければならないのか、その点も良く考えるべきだと思います。

饗子: ふむ。とりあえずここまでは、分かりました。

井上: さて、ここからが本題。それでは、さきほど饗子さんが言っていた「複製権」。これはいったいどんな権利か分かりますか?

饗子: ええと、例えば音楽CDなどを複製する権利だと思います。

井上: 概ね正解です。しかし、現実の権利関係はとても複雑で、その理解だと、対応しきれないシチュエーションが多々あります。

饗子: では、どう理解すれば良いですか?

井上: 難しい話は抜きにして、今日から、このように覚えてください。

「複製権とは、その著作物を他人に勝手に複製されることを防止する権利である」

比喩的に言うならば、
「複製権とは、その著作物を複製するためのパスワードを設定する権利である」

饗子: パスワード!?

井上: 例えば、饗子さんが作詞作曲した楽曲のCDがあるとします。このとき、饗子さんは、著作者として、複製権を持つことなります。

いま、このCDを、誰かが勝手に複製しようとしました。すると、「著作者の設定したパスワードを入力してください」という警告メッセージが出る。こういうイメージです。
このとき、原則としてこのパスワードを知っているのは、饗子さんだけです。

饗子: つまり、私以外の人は、パスワードを知らないので、複製することができないということですね?

井上:そうです!

饗子: そして、パスワードを知っている私は、このCDを自由に複製できると!!

井上: そこが、間違いなんです。

饗子: えぇええっ!?

井上: 実は、パスワードを設定する権利を持っているのは、饗子さんだけとは限りません。例えば、CDを作成したレコード会社(「レコード制作者」といいます)も、このCDに関する複製権を持っているんです。

饗子: ええと・・・。つまり、レコード会社もパスワードを設定できる権利を持っていると。

井上: そのとおり。パスワードは一つじゃないんです。一つパスワードを入力したとしても、また別のパスワード入力画面が出る。いくつもいくつもパスワードを入力しなければならない場合があります。だから、一つしかパスワードを知らない饗子さんは、自由にこのCDを複製することはできません。これが、著作物に関する権利関係難しいところです。

饗子: なるほど。私が作った楽曲のCDとはいっても、私が自由に複製して良いわけではないんですね・・・。

井上: だから、「饗子さんが。このCDを複製する権利を持っている」という表現では、ちょっと説明不足なんです。「饗子さんが、他人に勝手に複製されるのを防止できる権利を持っている」というのが正確な表現で、さらに比喩的に言うならば、「パスワード設定権を持っている」というイメージだと覚えておいてください。

饗子: わかりました!

井上: そして、この原則は、複製権だけでなく、著作権の支分権一般に通用します。

すなわち、
「◯○権とは、著作物を他人に勝手に○○されることを防止する権利である」

比喩的に言うならば、
「◯○権とは、その著作物を○○するためのパスワードを設定する権利である」
ということになります。

饗子: それでは、先ほどの例で、実際に私の楽曲のCDを複製するにはどうしたら良いですか?

井上: その場合は、饗子さんやレコード会社など、パスワードを持っている人たち全員に、一人一人頭を下げて、パスワードを教えてもらうことになります(複製の「許諾」といいます)。
あるいは、パスワード設定権自体を譲り受けるという手段もありますね(「複製権の譲渡」といいます)。

饗子: もし私のパスワードの設定権を譲ってしまったら、私が知らないパスワードを設定されてしまいますね?

井上: そうです。だから、パスワードを教えるだけにするのか、パスワード設定権を譲ってしまうのかは、充分に考えて決めなくてはならない問題ですね。

饗子: なるほど! イメージは分かりました。

井上: 以上今回は、超・超・超・基本編でした。 

饗子: さようならー!

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